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母のこと

私の母は、正論の人だ。
正論。綺麗事。優等生。
だけど、その仮面の裏側に、苛立ちと、怒りと、寂しさを抱えていたんだと思う。

母は典型的なアダルトチルドレンだった。
裕福な家庭に育ったが、祖母は母に無関心だった。
祖母はいつも綺麗に着飾って、趣味に明け暮れていた。
悪い人ではないが、子育てには向いていなかった。
子供よりも、自分が一番大切だったのだ。

母は、祖母にもっと愛されたかったと、しばしば口にした。
だから、祖母のような冷たい母親になるまいと、一生懸命、愛情を注いでくれた。

母はいつも、着ぐるみを着て演技をしているみたいだった。
ぎこちない動きで踊りながら、綺麗事を言い続けた。
「あなたは、あなたであるから素晴らしいのよ!」って。

私が私である事に困り果てていた私は、そんな母の綺麗事に辟易していて、正しく愛情を受け取ってあげられなかった。

摂食障害の症状がピークだった頃、
もう、万策尽きた。
治すために、出来ることが無い。
と言ったら、母は、
「あなたはまだ、やっていないことがある。それは、三食決まった時間にバランス良く食べる事だ。」
と言った。



私には、本当の母がわからない。
多分、母自身にも、わからないと思う。
本当の自分を掘り出す事が出来なかったから。
自分の中に、泣いている(あるいは怒っている)小さな子供を抱えたまま生きるのは、とても大変な事だと思う。

母がもっともっと歳をとって、小さな子供に戻れたら、

偉いね。頑張ってるね。良い子だね。

って、言ってあげられるだろうか?









# by yokoshida2020 | 2021-06-16 22:50 | 雑文 | Comments(0)

最近の作品の話。

イメージという大きな凧が風に乗って空を舞う。
糸の端をしっかりと握り、足を踏ん張り、糸を引き、また弛め、風をコントロールする。
決して落とさぬように。糸が切れて凧を逃がしてしまわぬように。

はるか上空を見つめ、太陽の光に目がくらみながらも、どうにかして凧に書いてあるメッセージを読み取ろうと四苦八苦する。

こういう作り方は、疲れる。
元気じゃないと出来ない。
今は、そんなに元気じゃない。
だから、

技術の事をやる。

動物図鑑を眺める。
作ったことのない珍しい動物を作る。
引いたことのない線を引く。
塗ったことのない色を塗る。

微かなそよ風に乗る。
タンポポの綿毛ほどの、小さな表現を加える。

そうして出来上がった物を見て、
誰かが笑ってくれたら嬉しい。




# by yokoshida2020 | 2021-06-03 12:16 | 雑文 | Comments(2)

平熱

元々、欲が薄い。
やりたい事も、欲しい物も、少ない。

洋服は自分で作るか、リサイクルショップで購入する。
本は図書館で借りる。
食事は、家族のために作っているけれど私一人なら三食シリアルでも構わない。
庭の木は勝手に生えてきたし、猫は拾った。

清貧の思想、では無い。
それに対する憧憬の念はある。

なんと言っても、目指すところは森茉莉的な美意識なのだ。

が、私の欲の無さの理由は全く違うところにある。

素敵な服や家具、美味しい食事、美容院、マッサージ、旅行。
そんな物は私には似つかわしく無い。
私は、私がそんな物に現を抜かすことを許さない。

これはこれで、誰に迷惑をかけるわけでもなく、わざわざここに記すような事でもない。

問題は、ここからだ。
私は、作った物を販売しているにも関わらず、


作家物の絵画、造形作品を購入したことがない。
美術館やギャラリーに行かない。
音楽は好きだけれどライブには行かないしCDも買わない。


もちろん、安価な手作り品を購入したり、家族のレジャーとして美術館やライブハウスに行くことはある。

ただ、自分自身の純粋な欲求として、生身の芸術を求めることがなく、文化や芸術に対して課金して来なかった、という後ろめたさを感じている。
とんでもなく大きな、欠陥なのではないかと、思う。

この事を、誰かと話してみたいと思ったりする。

こんな私の作品を、コロナ禍の街に勇ましく足を踏み入れ見に行って下さったり、連れて帰って下さったお客様や、
熱い想いで文化、芸術を守ろうと奔走なさっているギャラリーの方々、イベンターの方々に対して、
感謝すると同時に申し訳なく感じている。





# by yokoshida2020 | 2021-05-16 12:46 | 雑文 | Comments(2)

バイト

東京都の最低賃金は時給1013円らしい。

諦めきれないことがある。
バイト(年齢的にパートかな?)をする事。
もちろん、バイトをした事はある。
若い頃はずっと、バイトと作品制作の二足の草鞋を履くという、よくあるパターンの生活スタイル+足りない分を親や恋人に依存するという最低な生き方をして来た。

コンビニ店員。カラオケ店スタッフ。スーパー銭湯の食堂スタッフ。子供写真館の事務。スーパーマーケットのレジ。惣菜調理。引越し屋。通行人をカウントするやつ。試食販売。雑貨の販売。洋服の販売。ホームセンターの店員。などなど。
他にもあるけれど、一応、1日以上続いたのはこれくらい。

そう。
バイトが続かなかった。

バイトをしている時間。
一分一秒が、辛くて辛くて、どうしても続けられなかった。
理由なんかなくて、少しづつ少しづつ、喰い千切られて死んで行くような感覚で苦しかった。
でも、頑張りたい。人並みになりたい、自立したいという気持ちはあって、挑戦しては挫折するという繰り返しだった。

時給で働ける人は、その仕事を続けられる人。
たったの一週間、一ヶ月、働いて、心身共に壊れて脱落して、働けない時間が続いて、また立ち直ってしばらく働いて、では暮らしていけない。

私は、一回も、ちゃんと出来なかった。
普通に大変で、疲れて、面倒くさくて、怠くて、でも時々楽しかったり、楽な日があったり。そんな風に、働いてみたいと思い続けて何度も当たって砕けたけど駄目だった。

1番から12番まであるレジの中で、どうして私一人が絶望しているんだろう?酸素が薄くて、もうあと五分でもここにいたら頭がおかしくなってしまうと思いながら8時間をやり過ごして、
いつもいつも地獄みたいだった。

でも、この話をすると相手は口を揃えて、
「自分だってそうだよ。働くのは苦しいこと。でも、頑張ってる。食べて行かなけりゃならないから。」と言う。

本当に、その通りなんだよ!!
働くのが辛いのは私だけじゃない。
みんな同じ。
でも、私は、出来なかった。
努力が足りなかった。
お天道さまの下を歩けるような、人間じゃないと思う。

そんな人間が作るものに、何の価値があるのか。
正直、私は、誰かに寄生して作った時間で作り続けたからそれなりの技術を得ただけで、その時間、真っ当に働いて生活していた人達が私と同じだけの時間を作品に費やせれば私なんかよりずっと素晴らしい物を作れる。(作ることが嫌いじゃなければ。)

私は、ズルをして手に入れた時間で作ってきた。

働けなかった負い目と、作品の価格と、単純な快楽と、いろんなものが滅茶苦茶にに縺れて解けない毛玉みたいな状態。ここまで拗れてると、ここから軌道修正するのは不可能だと思う。

現実的な話をすると、

療育とか、就労支援とか。

もしかしたら、出会えていたら、違ったのかもしれない。

それから、
拗れたオバさんは声を大にして言いたい。

「合わない場所に居続ける事は百害あって一利なし。」

コンビニのレジカウンターの中で絶望感で押しつぶされそうだったり、
教室に入る事を考えるだけで打ちひしがれるなら、
間違いなくそこに居続けない方が良いと思う。

頭と心が壊れる前に、離脱した方がいいと思う。
逃げるんじゃなくて、離脱する。
10年後、20年後の自分のために、
明日の事や来週の事は一先ず置いておいて、離脱する。
それから、似たような場所には戻らないで、専門機関に助けを求める。

自分が出来なかった事を偉そうに書いてしまった。
でも、もしも娘が「ここに居続けるのは苦し過ぎる。理由はわからないけど。」って言うなら、「石の上にも三年」とか、言えないと思う。
多分。








# by yokoshida2020 | 2021-04-01 00:02 | 雑文 | Comments(0)

日々、密やかに、ぬいぐるみを作っています。


by Underthefern
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