2021年 06月 16日
母のこと
私の母は、正論の人だ。
正論。綺麗事。優等生。
だけど、その仮面の裏側に、苛立ちと、怒りと、寂しさを抱えていたんだと思う。
母は典型的なアダルトチルドレンだった。
裕福な家庭に育ったが、祖母は母に無関心だった。
祖母はいつも綺麗に着飾って、趣味に明け暮れていた。
悪い人ではないが、子育てには向いていなかった。
子供よりも、自分が一番大切だったのだ。
母は、祖母にもっと愛されたかったと、しばしば口にした。
だから、祖母のような冷たい母親になるまいと、一生懸命、愛情を注いでくれた。
母はいつも、着ぐるみを着て演技をしているみたいだった。
ぎこちない動きで踊りながら、綺麗事を言い続けた。
「あなたは、あなたであるから素晴らしいのよ!」って。
私が私である事に困り果てていた私は、そんな母の綺麗事に辟易していて、正しく愛情を受け取ってあげられなかった。
摂食障害の症状がピークだった頃、
もう、万策尽きた。
治すために、出来ることが無い。
と言ったら、母は、
「あなたはまだ、やっていないことがある。それは、三食決まった時間にバランス良く食べる事だ。」
と言った。
私には、本当の母がわからない。
多分、母自身にも、わからないと思う。
本当の自分を掘り出す事が出来なかったから。
自分の中に、泣いている(あるいは怒っている)小さな子供を抱えたまま生きるのは、とても大変な事だと思う。
母がもっともっと歳をとって、小さな子供に戻れたら、
偉いね。頑張ってるね。良い子だね。
って、言ってあげられるだろうか?
by yokoshida2020
| 2021-06-16 22:50
| 雑文